山林の処分についてどうすればよい~売れない、貸せない、いらない~
はじめに
はじめまして、AOI行政書士事務所の代表行政書士の早乙女裕輔です。
弊事務所は、埼玉県の戸田市、さいたま市、川口市、蕨市など(その他埼玉県、東京都も含む)のエリアをメインに相続、遺言を専門に取り扱っております。
今回は、よく事務所に問合せがある中で相談をうけることが多い、処分に困っている山林について書いていこうと思います。
このブログをみると以下のことが分かります
・山林を持っている方の悩み
・山林を持っていることで発生するリスク
・山林を処分(手放す)方法
私が遺言書や相続手続きをする中で、山林を保有している方への対応を通して、蓄積した知識や経験などをもとに話していきます。
ではみていきましょう
どんなタイミングで山林を処分しようと思うのか
山林の処分で悩んでいる方は、以下のような方です。
① 相続して、相続しなければいけなかった相続人など
② 過去に原野商法にはっかかってしまった方
③ 高齢になり、終活を考えたときに山林を必要する人がいなく、むしろ、保有していることで円滑な資産承継に支障がでると思っている所有者本人
④ 山林で何かあった際に、怖いと思っている方
①相続して、相続しなければいけなかった相続人など
1つ目の、相続してしまった相続人のケースは最近はよくあるケース。
確かに、今の時代、好んで山林を購入する方は、ほとんどいないと思います。そのため、親の実家が山林の近くにあり、それを相続により、承継してきたというイメージです。
今の時代、こどもがいない方も多いので、叔父、叔母の面倒をみるかわりに財産も引き継ぐことになったが、その中に山林がはいっていて、相続するしかなかったということもあります。
②過去に原野商法にはっかかってしまった方
2つ目の原野商法は、今の方は知らない方もいると思いますが、いわゆる一回も訪れたことがない原野を買って、将来的に値上がりした売却するというのを前提にバブルのときなどに原野を買った方がおります。
その後、価値は下がり、売れないレベルまでに値下がりしてしまい、仕方なく保有するしかない状況にあります。
③高齢になり、終活を考えたときに山林を必要する人がいなく、むしろ、保有していることで円滑な資産承継に支障がでると思っている所有者本人
3つ目は、簡単にいうと、自分が嫌だったりしたことは、他人にはやらない理論と同じで、自身が山林を保有していて、よい思いがしなかったので、相続人のこどもや甥姪のために、生前に処分しておいてあげようと思っている方です。
このケースが特に多いです。相続しても売れない財産だと、そういうのがきっかけで円滑な相続にならない可能性もあります。今まで、私が対応してきたケースでは、一番多いケースです。
④山林で何かあった際に、怖いと思っている方
4つ目は、相続するタイミングが土砂災害などのニュースがあると聞かれることが多くなるものです。
いわゆる所有者責任というもので、自身がもっている不動産が原因で、責任をとるような事由が発生してしまった場合に、賠償金などの責任をとらないといけないものです。不動産賃貸業をやっている方だとよくお分かりだと思います。
どんなことで山林について悩んでいるか
ここは明確に
山林の買い手がつかないというものです
これ以外で悩んでいる方は見たことがありません。
では、なぜ山林の買い手はいないのでしょう。
その理由は、
① 現代の日本人が、別荘や山林などを好まなくなっていること
② 不動産離れ(賃貸でよい、車もサブスク時代)
③ 周りに山林で困っている人を多くみてきているから
これだけオリンピック需要などで都心の不動産価格は上昇したにも関わらず、山林などの買い手はつきません。
これからも、山林の価格が上がるような要素はないので、山林を保有する方にとっては厳しい環境になると予想されます。
山林を持ち続けることのリスク
山林は固定資産税などはかからないことが多いので、放置する方がいらっしゃいますが、複数のリスクがあるので、ご留意くださいませ。
主な山林所有者のリスクは、以下のとおり
① 山火事
② 土砂崩れ
③ 不法投棄
山火事
日本の山火事をみてみましょう(以下、林野庁が発表しているデータです)
引用:林野庁 令和5年7月18日 日本では山火事はどの位発生しているの?
毎日4件以上の山火事が発生している計算になるとのこと。想像以上ですね。
最近、ハワイ・マウイ島の山火事がありました。
山火事が起こると、非常に多くの犠牲者と損害が発生してしまいます。
土砂崩れ
最近も土砂崩れで多くの犠牲者を出してしまったニュースがありましたが、土砂崩れにより近隣に住む住民などに被害を与えた場合に、以下のような請求をされる可能性があります。
・土砂やがれきの撤去費用
・被害の損害賠償金
損害賠償については、所有者の過失などが必要とのことですが、非常に所有しているだけで非常に恐ろしいリスクです。
不法投棄
不法投棄は、誰がやったのかがなかなか特定できないことも多く、その場合に、撤去要請があった場合、所有者が行うのが原則です。こちらも莫大な費用がかかる可能性があります。
山林を手放す方法
手放す方法は、3つあります。
① 買い手を探す
② 相続土地国庫帰属制度を活用する
③ 費用を支払って、引き取ってもらう
① 買い手を探す
- メリット
・現金化できる
・不動産登記費用などはかかるが、大きく収支に響かない
- デメリット
・買い手が見つからない
これは、さきほどもお伝えしたとおりです。
現状、山林については買い手がいない状況なので、よほど価値のある山林でないと価格はつかないでしょう。
② 相続土地国庫帰属制度を活用する
- メリット
・国が引き取ってくれるので安心
・買い手が国になるので、買い手探しも不要
- デメリット
・多額な負担金がかかる可能性もある
・現地写真が必要
・境界を明らかにしなければならない
・制度上、スタートしたばかり
・引き取ってもらうまで時間がかかる(と言われている)
こちらは、他の記事で詳しく紹介しているので、確認していただきたいのですが、2023年4月からスタートしたばかりの制度なので、どこまで機能するか不透明な部分です。ただ、この制度を使えれば、費用を支払い国が引き取ってくれます。
他に利用するためのハードルとしては、現地写真が必要であったり、境界を明らかにしなければならないことです。そのことを任せるにしても追加で費用がかかります。
山林の負担金は、「単価×㎡+固定値」の計算式となります。
山林だと1万㎡などはよくあることなので、仮に2万㎡だと、、、
「単価 6(円/㎡)×2万㎡+固定値 311,000円」となり、負担金が約43万円となります。
負担金だけでも高額になりますが、そこに現地いく交通費や負担などを考慮すると、なかなかハードルが高くなります。
③費用を支払って、引き取ってもらう
- メリット
業者に引き取ってもらうので早い
費用も業者によって様々(安い場合)
現地に行かず、測量も不要で売却できる可能性(業者による)
- デメリット
業者を見つけられない
業者を見つけても信頼してよいか分からない
費用も業者によって様々(高い場合)
測量が必要になる(業者による)
こちらは、私もよくお客様と会話するときに活用している方法です。
正直、前述した通り、山林は売れにくい状況です。それは、相続土地国庫帰属制度でもご説明したとおり、負担金を支払うレベルなので、明らかです。
でも、国に引き取ってもらうには相当の費用と時間がかかるという悩みがあります。その中間にあるのが、こちらの方法です。
こちらは、民間の不動産業者に費用を支払い引き取ってもらうスキームです。相続土地国庫帰属制度に似てますが、業者によりますが、早くて、境界を明らかにせずとも、引き取ってもらうことが可能になります。
ただ、この方法でお客様を悩ませるネックがあります。
それは、
というものです。
よい業者はあまり広告などなしでも、知っている者の間でコミュニティができているので、探し出すのは難しいかもしれません。
財産(山林など)、相続、遺言書でお困りなら弊事務所へご連絡ください
いかがでしたでしょうか。
今回は、山林の処分についてみていきました。
山林をただ保有しているだけでも、リスクは十分にあります。時間に余裕があるうちに、困っている財産については、処分などを検討してみるとよいでしょう。
困った財産(山林など)、相続、遺言でお困りのことがありましたら、まずはお気軽に弊事務所へご相談ください。
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