家督相続とは

はじめに

みなさま、こんにちは。

埼玉県戸田市・蕨市・川口市で遺言、相続を専門に取り扱っているAOI行政書士事務所の早乙女裕輔です。

お役にたつ情報を発信しておりますので、よろしくお願いいたします。

少し昔話にはなりますが、「財産は全て長男が引き継ぐもの」といわれた時代がありました。

いわゆる「家督相続」といった考え方になります。今回は、家督相続とはどのようなものかということをみていきましょう。

目次

家督相続とは

戦前の日本は、家制度というものがあり、「戸主」というものがおりました。

いわゆる、その家の中での大黒柱です。細かい決まりはあるものの、戸主が死亡・隠居した場合は、「戸主」たる地位を受け継ぐ者が、財産も相続するものと定められておりました。

「家督相続」とは、戸主を引き継ぐことで、一家の財産も引き継ぐものです

いつのこと

戦前の制度です。昭和22年の憲法公布により廃止されています。

昭和22年では、民法改正前の暫定措置が設けられておりました。正式に廃止されたのは、昭和23年の民法改正によります。

戸主権とは

先ほどはざっくり「戸主」についてふれましたが、戸主には戸主権があり、大きくわけて3つの権利に分類できます。

・家族の変化に対する同意権

・家族から排除する権利

・家族の居所を指定する権利

家族の変化に対する同意権

ここでいう家族の変化とは、婚姻・養子縁組のことです。現在でも婚姻するときは常識の範囲として、親に紹介して、表面上お許しを得るということはありますが、婚姻の要件ではありません。この時代は、法律で同意権として定められていたため、戸主の同意を得ることで婚姻ができたことになります

なぜ同意なんているのと思われるかもしれませんが、戸主は家族を扶養や統率する役割があったため、家に入ってくる人を見極める必要があったためです。

家族から排除する権利

言葉の通りですが、家族から排除する権利であり、強い権利です。例えば、婚姻の同意をしてないのに婚姻したり、居所の指定に従わない人を、家族から排除することができました

家族の居所を指定する権利

これも今の時代となっては、びっくりするかもしれませんが、戸主は家族が住む場所を指定する権利がありました。戸主は家族を扶養する義務を負っていたので、家族がどこに住むのかも影響をうけてしまったのです。今は自由に住みたいところに住めるため、本当に良い時代になりました。

戸主の責任と義務

後述での戸主権でも述べましたが、戸主権がある背景として戸主の責任と義務が関わっておりました。ここでは、戸主の責任と義務についてみていきましょう。

家族全員を扶養する義務

現在であれば、扶養と聞くと親子といった感じが一般的ですが、戸主は、家族全員に対する扶養義務があり、大きな負担がありました。

家を維持・存続させる義務

慣習として家は末代まで引き継いでいくものという考え方がありました(法律に規定があったわけではありません)。家督相続・家業繁栄など責任がありました。

このように、戸主は財産等も引き継ぐかわりに、大きな責任と義務も負うことになりました。男で生まれたばかりにこのような立場になってしまう時代ですので、性に合わない人もいたのだろうと思います。今でこそこのような戸主の考えはありませんが、長男は財産が引き継ぎ、親の面倒もみるといった慣習はあるのかもしれません。

家督相続になれた人

家督相続は長男がするものという印象がありますが、家督相続人の法律上の要件については、柔軟でした。

・女性でも良い(女戸主)

・長男でなくても良い(法定家督相続人の順位があり、後述を参照)

・他人でも良い(いわゆる養子)

こうみると柔軟な制度になっておりますが、一般的になっている考え方は、後述する法定家督相続人の順位を参照して頂くとよいかもしれません。

家督相続が開始する原因

家督相続が開始するときは、6つのタイミングがあるといわれております。

・戸主の死亡

・戸主の隠居・・・戸主が家督を譲るために隠居の届出をした

・戸主の国籍喪失・・・帰化等で戸主が日本国籍でなくなったとき

・戸主の婚姻・養子縁組の取消による去家・・・婚姻や養子縁組等で他の家からきた戸主が離婚や離縁によって家を去ったとき

・女戸主の入夫婚姻・・・女戸主が結婚して夫が妻の家の戸主になったとき

・入夫の離婚・・・入夫婚姻によって戸主になった夫が離婚して家を去ったとき

法定家督相続人の順位

法定家督相続人の順位をみていく前に、現在の民法では、どのような相続となっているかみていきましょう。

現行の民法

配偶者は必ず相続人になります。

・第1順位:被相続人の子ども

・第2順位:被相続人の直系尊属(父母または祖父母)

・第3順位:被相続人の兄弟姉妹

法定家督相続人の順位

嫡出男子から段々と下がっていきます。

・嫡出男子(婚姻関係がある男女から生まれた男子)

・庶出男子(戸主が認知した男性の私生児)

・嫡出女子(婚姻関係がある男女から生まれた女子)

・庶出女子(戸主が認知した女性の私生児)

・非嫡出男子(男性の私生児)

・非嫡出女子(女性の私生児)

順位が同じ者の間では、年長者が相続人となります。

こうみると、当時は嫡出子と非嫡出子を比べると嫡出子が優先順位は高く、女子よりも男子の方が高いことが分かります。

指定・選定家督相続人

戸主は同じ戸籍の中に直系卑属がいない場合のみ、遺言等で生前に誰かを相続人として指定することができました。

これを「指定家督相続人」といいます。

直系卑属もおらず、家督相続人として指定することもなかった場合、前の戸主の父や母、親族会が選定することもできました。

これを「選定家督相続人」といいます。

さいごに

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