遺言書とは

はじめに

みなさま、こんにちは。

埼玉県戸田市・蕨市・川口市で遺言、相続を専門に取り扱っているAOI行政書士事務所の早乙女裕輔です。

お役にたつ情報を発信しておりますので、よろしくお願いいたします。

老後や親の相続等がきっかけで、自身の財産はどうなってしまうのだろう、誰に遺すべきかと漠然と考え出したときに、真っ先に思い浮かぶのは、「遺言書」ではないかと思います。少し昔までの日本人は、遺言書と聞くと、ネガティブなものと考えて、受け入れにくいものでした。私も、金融機関に入行当初は、遺言書と話を出すと、お客様に「この世から早くいなくなってほしいと思っているのか」と、ご指導頂いたものです。しかし、現在は日本人にとっても身近なものとなり、そのこと自体は非常に良いことだと思っておりますが、相続・遺言の知識が乏しい人が、遺言書を独力で準備したことが原因で、家族等に迷惑がかかってしまうことや、逆に「争続」に発展してしまうこともあります。本紙では、これから遺言書を作成しようとお考えの人に対し、基本的な遺言書の知識と留意点を、金融機関で遺言信託を100件以上作成した経験から説明いたします。

目次

遺言書とは

遺言書と言われれば、何となく理解できている人は多いと思いますが、Wikipedia上には以下のような説明があります。

「民法上の法制度における遺言は、死後の法律関係を定めるための最終意思の表示をいい、法律上の効力を生じせしめるためには、民法に定める方式に従わなければならないとされている(民法960条)」

非常にざっくり説明してしまうと、

遺言書とは、財産の所有者が、自身に相続が発生後、財産をどのように分けるか意思表示したもの及び書面です。そして、その書面は民法に従って対応することになる。

自身が築き上げた財産を、生前に誰にどのくらい遺すのかを指定する有効な手段です。

また、遺言書は双方の同意は必要なく、一方的な想いで作成できてしまう手頃さがあります。

エンディングノートや遺書との違い

よくある勘違いの中に、「私は、エンディングノートがあるから大丈夫。」があります。よく、本屋に行くとエンディングノート等が販売されています。それらのエンディングノート等と遺言書が多く異なる点は、法的効力があるかどうかです。エンディングノートや遺書は、いわゆる手紙みたいなもので、法的効力はありません。一方で、遺言書の場合は、法的効力が生まれます。

遺言書ではしっかり財産指定をしておき、エンディングノートでは、家族に向けた手紙や、通帳や大切なもののありかをエンディングノートに書いておく人もおります。あくまで、エンディングノート等は、遺言書の補足程度にしておくことをオススメいたします。

遺言書でできること

生前に財産指定できる

遺言書には、誰に、どの財産を、どのくらい遺すか記載し、指定することができます。法定相続分といって、家族関係によって、配偶者や子などがどのくらい相続できるかの目安があるのですが、遺言書がある場合は、遺言書が優先されるため、遺したい人に遺すことができます。         

「法定相続分」については、こちらをご覧下さい。

法定相続人以外の人に遺せる

法定相続人といって、遺言書がない場合、相続できる人は決まっております。遺言書を作成することによって、法定相続人以外の個人や法人に遺すことが可能になります。前述した内容も含みますが、遺留分といって、一定の範囲の法定相続人には遺産を最低限相続できる権利が定められているため、注意が必要です。

「法定相続人」については、こちらをご覧下さい。

「遺留分」については、こちらをご覧下さい。

相続人の排除

稀なケースではありますが、遺言書で相続人の排除をすることができます。相続人の排除が成立すると、その者の相続権を失わせることができます。

廃除が認められるのは、①被相続人に対する虐待や重大な侮辱がある場合、あるいは②推定相続人にその他の著しい非行がある場合です(民法892条)

遺言を実現する者を指定できる

遺言書の内容を実現するものを遺言執行者といいます。遺言書の中で、遺言執行者を指定することができます。生前に信頼できる家族や士業等の専門家をしておくことで、安心することができます。

「遺言執行者」については、こちらをご覧下さい。

その他

あまり実務上では見ることはありませんが、他に遺言書でできることとして、子の認知、保険の受取人変更等もできます。

遺言書の種類

大きく分けて、遺言書は①自筆証書遺言②公正証書遺言③秘密証書遺言の3つに分けられます。

秘密証書遺言は実務上、ほとんどないため、今回は①自筆証書遺言②公正証書遺言について、説明いたします。

自筆証書遺言

様々なリスクはあるが、費用を抑えて、遺言書を作成したい人向け

方法

①遺言者本人が、自分自身で書く

②日付を記載する

③署名をする

④捺印する

⑤自筆証書遺言完成

費用

①無料

留意点

①遺言書の有効性

②遺言書が発見されない可能性(自筆証書遺言書保管制度で解消)

③家庭裁判所の検認が必要(自筆証書遺言書保管制度で解消)

公正証書遺言

費用はかかるが、実現性のある遺言書を作成したい人向け

方法

①公証人への相談及び依頼

②公証人へ必要資料の提出

③公証人が遺言書案文を作成修正

④公証役場にて、公証人と証人2名の前で、遺言書内容を確認し、各々署名・押印

⑤公正証書遺言完成

費用

①公証人に提出する必要資料の代金

②公証人への費用

③証人への謝礼

留意点

①費用がかかる

②必要資料を収集

③公証人とのやりとり

まとめ

自筆証書遺言公正証書遺言
手軽さ 〇 自身のみで完結する △ 公証人や資料などやりとりが発生
費用〇 無料✕ 費用負担あり
有効性△ 無効になる可能性あり〇 公証人が確認
アドバイス✕ 自身で調べる〇 公証人から受けられる
紛失✕ 紛失する可能性あり〇 公証役場に原本を保管
偽造✕ 偽造される可能性あり〇 公証役場に原本を保管

遺言書の留意点

遺言書の内容が法的に効力が発生するものにしましょう

少し前にもふれましたが、遺言書だと思って作成したとしても、定められた条件を満たしていないと、無効となってしまいます。遺言書が無効と判断されると、法定相続人で遺産分割協議をすることになり、遺言者の思ったような配分にならなかったり、法定相続人以外の人に遺すはずだった場合、遺すことができなくなってしまう可能性があります。自筆証書遺言で作成される場合は、よほど遺言書に精通している人でない限り、専門家にご依頼することをオススメいたします。

遺言書が作成できることと、遺言が円滑に実現できるかは別物

前述している部分で、遺言書が有効となったからといって、円滑に遺言執行が行われるかはわかりません。遺言書の有効性では、条件が満たされていれば良いという考え方ですので、例えば、配偶者や子がいても、知人に全て遺す遺言書も条件が満たされていれば、有効です。しかしながら、素人の方でさえもこの遺言書は、円滑に進まなそうなことは予想つきます。先ほどの例は極端ではありますが、例えば、子が3人いるのに1人に配分を寄せてしまう内容であったり、そもそも不動産だけ遺すのみで相続税が払えない状態になっていたり、遺言書は有効だが、その内容で実際に遺言執行が円滑に進むかという部分も注意が必要です。この部分については、公正証書遺言で作成したとしても、公証人は法的な目線で、遺言書の有効性はしっかり確認してくれますが、いわゆる総合的に判断して、コンサルティング提案のようなところまではしてくれないと思いますので、ご留意下さい。

遺留分に注意しましょう

遺言書でできることでふれましたが、遺留分には注意が必要です。遺留分は、一定の範囲の法定相続人が遺産を最低限相続できる権利です。ご自身の想いだけで、配分を決めてしまうと、遺留分を侵害してしまい、その被遺留分侵害者から遺留分侵害者が、遺留分侵害額請求をうけることになり、多大な負担と関係性にヒビが入ってしまいます。

「遺留分」については、こちらをご覧下さい。

専門家に任せる

ここまで読み進めて頂いた人の中には、費用を払ってでもしっかり遺言書を作成したいと思っている方が多いのではないでしょうか。

では、どういった専門家に任せれば良いのかというと、大きく分けて、①信託銀行等の金融機関 ②士業の2つがあります。

信託銀行等の金融機関

いわゆる遺言信託という商品があります。こちらは、遺言書作成+遺言執行がセットになっているものです。私も、信託銀行で遺言信託の担当として、永年にわたり従事して参りました。

メリット

誰も聞いたことがある金融機関であるため、信用度が高く、余程でない限りなくならない

デメリット

手数料が高い(例  初期費用:約33万円、保管中:6,000円/年、遺言執行:財産額×1~2%)

担当者が2、3年に1回変更になる可能性

士業

士業の事務所によって、遺言書作成だけで良いところだったり、遺言書作成+遺言執行もセットになっているところもあります。

メリット

比較的手数料が安い

担当者が変わらず対応できる可能性

デメリット

金融機関に比べると、信用度は低くなる。

さいごに

相続サポート窓口では、遺言書作成でお悩みの方のための無料相談を実施しております!

信託銀行等で相続・遺言の経験を積んだ経験豊富な行政書士が、対応いたします

まずは、家族構成、財産、資産背景などの現状把握を行ったあとに、ご意向の配分をした場合に税務上問題ないかなど総合的に検討し、どのように遺言書を作成すれば円滑に遺言執行が行われるか検討します。

実際に遺言書を作成する場合、必要書類の収集から始まり、遺言書の案文作成、公証人とのやりとりも全て行います。お客様が、遺言書作成当日に公証役場に来て頂き、内容確認後、署名捺印頂くのみでよいため、負担は軽減されると思います。

相続サポート窓口の強みは、信託銀行で数多くの相続・遺言案件に携わってきた者が、行政書士となり、安価で金融機関並みの提案をできることです

初回相談は無料となっていますので、お気軽にご相談下さいませ。

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