遺言執行者とは
はじめに
みなさま、こんにちは。
埼玉県戸田市・蕨市・川口市で遺言、相続を専門に取り扱っているAOI行政書士事務所の早乙女裕輔です。
お役にたつ情報を発信しておりますので、よろしくお願いいたします。
「遺言執行者」とは、遺言書の内容を実現する者のことです。遺言書は、ただ作成するだけでは意味がありません。
遺言執行が行われて初めて、遺言書は本来の意味をなすことができます。
基本知識
遺言執行者の指定
遺言執行者は、遺言書内で指定されます。指定と聞いて、少し不思議に思う方もいると思いますが、遺言書は遺言者の一方的な意思で作成できてしまうため、あくまで指定となっております。遺言執行者が就職するかは自由ですので、拒否することもできます。
遺言執行者の就職
遺言執行者が就職を承諾したら、直ちにその任務をする必要があります。また、遺言執行者は遺言の内容を相続人に通知しなければなりません。
民法第1007条
1遺言執行者が就職を承諾したときは、直ちにその任務を行わなければならない。
2遺言執行者は、その任務を開始したときは、遅滞なく、遺言の内容を相続人に通知しなければならない。
遺言書執行者になれる人
遺言執行者は「未成年」「破産者」以外であればどんな人でもなることができます。 家族や知人、法人もなることもできますし、複数の遺言執行者を指定しても良いです。
第1009条
未成年者及び破産者は、遺言執行者となることができない。
遺言執行者ができること
前述した通り、遺言執行者の役割は、遺言書の内容を実現することです。どのようなことをするのかみていきましょう。
遺言執行者の権限
民法により、遺言執行者には「遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言執行に必要な一切の行為をする権限」が認められます。
第1012条
1遺言執行者は、遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一 切の行為をする権利義務を有する。
2遺言執行者がある場合には、遺贈の履行は、遺言執行者のみが行うことができる。
遺言執行者が行う実務の一例
例えば以下のようなことができます。
・相続にともなう各種名義変更
・預貯金の払い戻しと相続人や受遺者への交付
・遺言書の検認
・子どもの認知
・相続人の廃除やその取消し
相続法改正
2019年7月1日に施行された改正民法により、遺言執行者の権限が従来よりも強化されました。
遺言執行者の立場や権限の明確化
従来の民法では、遺言執行者は「相続人の代理人」という立場でした。
「相続人の代理人」であることで、相続人の利益になる行動をとる必要があったため、時に相続人の利益にならないケースもあった場合、相続人から「代理人なのに、なぜ相続人に不利益な行動をするのか」といわれてしまう問題がありました。
改正後、遺言執行者は相続人の代理人ではなく独立した立場であると明らかにしました。
また、遺言執行者の権限に「遺言の内容を実現するため」の文言を追加し、強力な権限を行使できるようになりました。要するに、相続人に不利益なことでも、遺言書にある被相続人の意思は実現させることができます。
第1012条
1遺言執行者は、遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一 切の行為をする権利義務を有する。
2遺言執行者がある場合には、遺贈の履行は、遺言執行者のみが行うことができる。
民法1015条
遺言執行者がその権限内において遺言執行者であることを示してした行為は、相続人に対して直接にその効力を生ずる。
相続人による妨害行為が無効
改正法では「相続人は遺言執行者の行為を妨害してはならない」と規定されており、妨害した場合、その行為は「無効」になると規定されています
第1013条
1遺言執行者がある場合には、相続人は、相続財産の処分その他遺言の執行を妨げるべき行 為をすることができない。
2前項の規定に違反してした行為は、無効とする。ただし、これをもって善意の第三者に対 抗することができない。
単独で相続登記をできるようになった
従来までは、不動産を特定の相続人に「相続させる」という遺言があった際、相続人が自身で登記しなければなりませんでした。
改正法では、特定の相続人に対する特定不動産の相続登記についても遺言執行者が単独で申請できるようになりました。
通知の義務化
改正前は、通知義務がありませんでした。よって、遺言執行開始を知らなかったり、遺言執行者がいること自体知らない相続人もいました。改正後は、通知の義務化により、相続人は遺言書があることを早いタイミングで知ることができ、遺言執行者と相続人のトラブルが減少し、遺言執行が円滑進む状況となっています。
遺言執行者の選定方法
遺言執行者を選定する方法は、3つあります。
・遺言書で遺言執行者を指定する
・遺言書に遺言執行者は第三者に決めてもらうように指定する
・裁判所に選定してもらう
遺言書で遺言執行者を指定する
遺言執行者を選任する方法として、一般的な方法です。遺言書の中で、遺言執行をしてほしい人を指定しておきます。前述しましたが、あくまで指定にすぎないため、相続発生後に拒否される可能性があります。遺言書は一方的な意思で作成できてしまうため、確認をとらずに進める方もおりますが、遺言執行者として指定したい人に遺言執行をしてほしい旨を伝えて、事前に合意をとっておくのがよいでしょう。
遺言書に遺言執行者は第三者に決めてもらうように指定する
上記のような遺言執行者を決められない場合は、遺言執行者を選定する人を指定しておきましょう。こちらは選定方法としてはあるのですが、できるだけ上記のように遺言執行をしてほしい人を決めて、事前に話して、遺言執行を待つのがよいと思われます。
裁判所に選定してもらう
遺言執行者は指定しなくてもよいです。または、指定された遺言執行者がすでに亡くなっていることもあります。その場合は、家庭裁判所にて選定することになります。
〇申立人
・利害関係人(相続人,遺言者の債権者,遺贈を受けた者など)
〇申立先
・遺言者の最後の住所地の家庭裁判所
〇申立てに必要な費用
・執行の対象となる遺言書1通につき収入印紙800円分
〇申立てに必要な書類
・申立書
・標準的な申立添付書類
遺言者の死亡の記載のある戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本(全部事項証明書)
(申立先の家庭裁判所に遺言書の検認事件の事件記録が保存されている場合(検認から5 年間保存)は添付不要)
遺言執行者候補者の住民票又は戸籍附票
遺言書写し又は遺言書の検認調書謄本の写し
(申立先の家庭裁判所に遺言書の検認事件の事件記録が保存されている場合(検認から5年 間保存)は添付不要)
利害関係を証する資料(親族の場合,戸籍謄本(全部事項証明書)等)
遺言執行者の解任方法
遺言執行者に就任した人が遺産調査などを行わない等がある場合、職務怠慢を理由に遺言執行者を解任することが可能。家庭裁判所に遺言執行者解任の申し立てを行います。解任が認められるかはケースによって異なります。
遺言執行者の解任が認められる例
・遺産の調査・管理をしない
・手続き状況を報告しない
・特定の相続人の利益に加担している
・遺産を不正に使用している
・病気で職務の継続が難しい
〇申立人
利害関係人(相続人など)
〇申立先
・遺言者の最後の住所地の家庭裁判所
〇申立てに必要な費用
・800円
〇申立てに必要な書類申
・申立書
・申立人の戸籍謄本、住民票
・遺言執行者の戸籍謄本、住民票
・被相続人(遺言者)の戸籍謄本(除籍謄本、改製原戸籍謄本)、住民票除票
・遺言書の写しまたは遺言執行者の選任審判書
遺言執行者の辞任方法
遺言執行者に就職したものの、やっぱりやめたいと思ったらどうすればよいでしょう。実は、遺言執行者に就任した後に、遺言執行者を辞任する場合は、簡単には辞任することができないということだけは知っておきましょう。遺言執行者を辞任する場合、家庭裁判所の許可が必要です。そして、家庭裁判所の許可は、辞任をする正当事由が存在していないといけません。ただ単にやる気がなくなったから、やってみて大変だなといった理由では、辞任することは難しいと考えておく方がよいでしょう。
第1019条2項
遺言執行者は、正当な事由があるときは、家庭裁判所の許可を得て、その任務を辞することができる。
遺言執行者の業務
遺言執行者の業務は以下のような流れで行われます。
・遺言執行者に就職したことを相続人に通知、及び遺言書の写しを相続人に送付
・相続人・相続財産を調査し、財産目録を作成・交付
・遺言の執行手続き
・遺言執行の完了を相続人に通知
さいごに
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まずは、家族構成、財産、資産背景などの現状把握を行ったあとに、ご意向の配分をした場合に税務上問題ないかなど総合的に検討し、どのように遺言書を作成すれば円滑に遺言執行が行われるか検討します。
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