相続土地国庫帰属制度とは
はじめに
みなさま、こんにちは。
埼玉県戸田市・蕨市・川口市で遺言、相続を専門に取り扱っているAOI行政書士事務所の早乙女裕輔です。
お役にたつ情報を発信しておりますので、よろしくお願いいたします。
なぜこんな制度があるのか
法務省「相続土地国庫帰属制度のご案内」から引用すると以下のようになる。
「土地利用ニーズの低下等により、土地を相続したものの、土地を手放したいと考える方が増加しています。また、相続を契機として、土地を望まず取得した所有者の負担感が増しており、管理の不全化を招いています。所有者不明土地の発生を抑えるため、相続や遺贈により土地の所有権を取得した方が、土地を手放して国庫に帰属させることを可能とする制度が創設されました。」
簡単にいうと、自分ではまず買わないような魅力がない土地を、不運にも相続で取得してしまった人を救済してくれるような制度です。
おおまかな流れ
①事前相談→②申請書の作成・提出→③要件審査→④承認・負担金の納付→⑤国庫帰属
主に③がこの制度の重要なポイントだといえます。(詳細の③は後述します。)
申請できる人
この制度を利用できる人の大前提は以下のとおり。
国庫帰属を希望する土地は、自身が一部又は全部を相続や相続人への遺贈により取得した土地である
よって、売買などで取得した財産は対象外であることに注意しなければならない。
また、共有名義人がいる場合は、共有者全員で申請しなければならないため、全員の意向が一致していることが大切である。
申請ができない土地
・建物の存する土地
・担保権又は使用及び収益を目的とする権利が設定されている土地
・通路その他の他人による使用が予定される土地+以下が含まれる
①現に通路の用に供されている
②墓地内の土地
③境内地
④現に水道用地・用悪水路・ため池の用に供されている
・土壌汚染対策法第2条第1項に規定する特定有害物質により汚染されている
・境界が明らかでない土地その他の所有権の存否、帰属又は範囲について争いがある
帰属の承認ができない土地
・崖がある土地のうち、その通常の管理に当たり過分の費用又は労力を要する
・土地の通常の管理又は処分を阻害する工作物、車両又は樹木その他の有体物が地上に存する
・除去しなければ土地の通常の管理又は処分をすることができない有体物が地下に存する
・隣接する土地の所有者その他の者との争訟によらなければ通常の管理又は処分をすることができない以下の土地
(a)又は(b)に該当する土地のうち、現に民法上の通行が妨げられている
(a) 他の土地に囲まれて公道に通じない土地
(b) 池沼・河川・水路・海を通らなければ公道に出ることができない土地、又は崖があって土地と公道とに著しい高低差がある土地
・所有権に基づく使用又は収益が現に妨害されている土地
・そのほか、通常の管理又は処分をするに当たり過分の費用又は労力を要する以下の土地
①災害の危険により、土地や土地周辺の人、財産に被害を生じさせるおそれを防止するため、措置が必要な土地
②土地に生息する動物により、土地や土地周辺の人、農産物、樹木に被害を生じさせる土地
③適切な造林・間伐・保育が実施されておらず、国による整備が必要な森林
④国庫に帰属した後、国が管理に要する費用以外の金銭債務を法令の規定に基づき負担する土地
⑤国庫に帰属したことに伴い、法令の規定に基づき承認申請者の金銭債務を国が承継する土地
申請に伴い必要な書類、費用など
・申請書
・添付書類(図面、境界線関連の書面)
・審査手数料:土地一筆当たり14,000円
・負担金:負担金は、土地の性質に応じた標準的な管理費用を考慮して算出した、10年分の土地管理費相当額です。
「宅地」「農地」「森林」「その他」の4種類に区分されます。
負担金の計算に用いる地積は、登記記録上の地積を基準とします。